【首】身体の慣用句とその使い方・例文パート2

【首】身体の慣用句とその使い方・例文パート2

首を使った慣用句パート2です。パート1では首になる=解雇される系の慣用句が多かったですよね。首というのは人間にとっても動物にとっても、生きていくには必ずつながっていなければならない部分。

指や腕、脚なんかは最悪失っても死にはしないですが、首が切られるとすぐに命を失ってしまうんです(首なし鶏マイクのような例外もありますが)。

パート2もそういったところから来る慣用句が多いです。というわけで、早速見ていきましょう!

「首」を使った慣用句

首が繋がる

「首が繋がる」とは免職や解雇を免れるという意味になりますね。解雇されそうになったがなんとか助かった、という状況で使われることが多い慣用句。

例文
会社のリストラ策により私も危なかったのだが、なんとか首が繋がりホッとした。

首になる

「首になる」は免職・解雇されることを意味します。最もシンプルかつ的確に解雇されたことを伝える言葉ですよね。それ以外にも打ち首にされるという意味もありますが、現在は前者の意味で使われるのがほとんどです。

例文
会社がさらなるリストラ策を講じてきたため、私が首になるのも時間の問題となった。

首に縄を付ける

「首に縄をつける」は嫌がる人を無理矢理にでも連れて行こうとするたとえですね。動物などは首に縄をつけられることが多いですよね。犬なんかは別に無理やり連れて行こうとしなくても散歩に行きたがりますけども。

例文
父は首に縄を付けてでも僕を学校に行かせようとした。

首の皮一枚

ギリギリのところでまだつながっていることを意味するのが「首の皮一枚」ですね。小さいけれども可能性がまだ残されている時によく使われます。

例文
投資をしていた株が大暴落して大損被ったが、現物だったので首の皮一枚つながった。失った分は必ず取り戻してみせる。

首を賭ける

命がけで物事にあたることを「首を賭ける」と表現します。最初にも書いたように、首は命を繋ぐ生命線みたいなもので、それを差し出すというのはよっぽどなわけです。「首」は職に関することでよく使われます。この慣用句も仕事に関してのもので、職を失う覚悟で、という意味になりますね。

例文
私はその企画で首を賭けるつもりだ。失敗は許されない、と自分に言い聞かせる。

首を傾げる

小首をかしげるとほぼ同じ意味ですが、「首を傾げる」は疑問や不審がある様子のこと比喩的な表現ではなく、疑問がある時は勝手に首を傾げてしまうこともあるので面白いものです。

例文
私は彼のその一言を聞いて首を傾げた。聞き間違いでなければ以前言っていたことと違うではないか。

首を括る(くびをくくる)

ロープや紐などを首に巻いて締め付けることを「首をくくる」と言います。主に死ぬ目的で行われる行為のことですね。縊死(いし)とも。括るつながりで言えば「腹をくくる」もありますが、あちらは覚悟を決めるという意味ですので全く異なりますので混同しないようにしましょう。

例文
あそこの社長さんは借金の返済ができず首を括る寸前だとか。事業が上手くいかないと怖いねぇ。

首を挿げ替える

「首を挿げ替える」は何かしらの理由によって役職のある人物を交代(更迭)させ、別の人をその役職に据えることですね。概ね会社や役所で不祥事があったときなどに使われることが多い言葉です。

例文
あの会社は社長の首を挿げ替えることでしか再生の余地はない。

首を縦に振る

「首を縦に振る」はある事柄などに対して了承するという意味ですね。「うん」とうなずくことです。ちなみに、この首の縦振りは肯定(yes)、横振りは否定(no)は殆どの国では共通動作ですがインドやバングラデシュ、などでは肯定の時に首を横に傾けるそうです。ブルガリアは縦振りがno、横振りがyesなんだとか。

ほとんどは共通ではあるものの国によっては異なるようなので、海外に出かける事がある人は気をつけましょう。

例文
インストラクターに、一緒に頑張りましょう!と言われ私は首を縦に振った。

首を刎ねる(くびをはねる)

「首を刎ねる」は文字通り首を斬るという意味のある言葉です。解雇するとかではなく直接的な意味になるので注意。「刎」という漢字は漢検一級レベルで、これだけで首を切るという意味があります。

例文
首なし鶏のマイクは首を刎ねたにもかかわらず18ヶ月も生きたそうだ。

首を横に振る

上でも紹介しましたが、「首を横に振る」は否定や不承知、NOを表す動作になりますね。

例文
企画の成否について問われた彼は、力なく首を横に振るだけだった。今日は一杯付き合ってやるか。

首をあげる

「首をあげる」は首を取るという意味ですね。現代において「首をあげる」を使うことやそのシーンを見ることはまずなく、歴史ドラマや小説で目にするくらいでしょう。

例文
かつての戦国時代の戦は敵将の首をあげることで勝敗が決まったそうだ。

小首を傾ける(こくびをかたむける)

「首を傾げる」や「小首をかしげる」と同じ意味で、疑問や不審に思うときの動作のことですね。どれを使ってもニュアンスはほとんど変わらないと思います。

例文
今日は母の機嫌が妙に良いので鈍感な私でも小首を傾けたのだが、なるほど今日は両親の結婚記念日だったのか。

首の座に直る

首の座とは打ち首の刑になった者が、首を斬られる時にすわる座のこと。時代劇などではよくゴザなどの上に正座している姿をよく見ますよね。あれが首の座です。

「首の座に直る」は打ち首の席に居を正して座り、刑罰を受けることという意味になります。また、覚悟を決めるという意味もありますので、よっぽどキツイ刑が待ち受けている時に使うものと覚えておくと良いでしょう。

例文
不祥事を行った会社の経営陣は、まるで首の座に直るかのような面持ちで株主総会に出席した。

首尾よく

「首尾よく」は都合よく、うまい具合に、といった意味ですね。「首尾」は始めから終わりまで、物事の成り行き・結果、という意味があります。なので「首尾よく」は始めから終わりまでうまい具合に事が進んだというように使われますね。

例文
道幅を広げる数年がかりの計画はどうやら首尾よく進んだらしい。

首振り三年、ころ八年

これは「顎振り三年」と同じ意味の言葉なのですが、首を振りながら尺八の音がしっかり鳴らせるようになるまで三年、ころころといういい音が鳴るまでに八年かかるということ。

そこから転じて、どのようなものでも相応の腕前になるには非常に長い時間をかけた修行が必要であるということを意味するのが「首振り三年、ころ八年」ですね。

この「●●三年●●八年」ということばは結構あるのですが、大抵は同じ意味になります。

首根っ子を押さえる

首筋を押さえ、身動きができない状態にすることを「首根っ子を押さえる」といいます。首というのは動物の弱点ですよね。弱点や急所、弱みとなるものを握り行動の自由を奪うことを意味します。

例文
窃盗犯の首根っこを押さえたのはなんとプロボクサーだった。

まとめ

はい、今回は首を使った慣用句パート2をまとめました。首は動物における急所で、切れると生きてはいけません。そのことから、生活の糧を得るための仕事に関する慣用句が増えていったのだと思います。

直接的な生死に関わるものではありませんが、やはり「首になる」とか「首の皮一枚」とかあまり実生活で目にしたくはないものですね。といっても私達も首の皮一枚でつながっているようなものですので、もっと力強く生きていきたいものです。

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