【口】身体の慣用句とその使い方・例文パート5

【口】身体の慣用句とその使い方・例文パート5

口を使った慣用句、パート5です。やはりここまで紹介してきた慣用句と意味がダブっていたりするものもいくつかありますが、それはそれで関連付けて覚えやすいです。ただ今では使わないような表現のものもありますから、そのあたりを注意して見ていってもらえればなと思います。

というわけで、早速見ていきましょう!

口を使った慣用句とその使い方・例文

口を滑らす

「口を滑らす」は使用頻度の高い慣用句で、言ってはいけないことや余計なことを言ってしまうといった意味がありますね。これは知っている人が多いんじゃないかと思います。

例文
彼は私が口を滑らせるのを待っているように見える口ぶりだ。しかし私もそれほどバカじゃない。

口を叩く

「口を叩く」には言う、しゃべる、といった意味があります。「大口を叩く」「陰口を叩く」といったように使われるのが一般的ですね。しかも大抵は悪い意味として使われるので、使用時には注意しましょう。

例文
またアイツはできもしないことを出来るかのように大口を叩いているな。口だけが達者なのは直してもらったほうがいいんじゃないか?

口を垂る(くちをたる)

これはほぼ現在では使われない言葉ですが、自分を卑下したり卑屈な言い方をするという意味になります。古典を読むときには出てくる慣用句かもしれません。

口を噤む(くちをつぐむ)

イラッとしたときや気分的になにも話したくない時、口を閉じたままなにも言わないとか、あるいは言いたくても言えないようなことがある時に「口を噤む」と表現します。

例文
弟は目に涙を浮かべたまま口を噤んだままだ。これでは話し合いが全く進まない。

口を慎む

「口を慎む」とは、言わなくても良い余計なことや、自分の領分を超えたり、出過ぎたことは言わないという意味の慣用句。よく使われる慣用句なので見たことがある人も多いでしょう。

例文
今は授業中だぞ!口を慎みなさい!

口を尖らす

これは「口を尖らせる」と同じ意味で、唇を前に突き出した形にして不満を表現したり、怒って口論したりすることを意味する慣用句ですね。「唇を尖らす」とも同じ意味となります。

例文
彼女は口を尖らせて一生懸命反論したが、教授の論法の前には歯が立たなかった。

口を閉じる

「口を閉じる」はそのまま口を閉じて話をしないという意味があります。なにも言いたくない時などに使うといいですね。「口を噤む」とか「口を箝する」といった書き言葉メインで使う慣用句よりもシンプルで汎用性が高いですね。

例文
あのときのことはまだ心の整理がついていないといって、彼女は口を閉ざしたままだ。

口を濁す

「口を濁す」は「言葉を濁す」と同じ意味で、肝心な部分をぼかしたり曖昧に言うことですね。これもよく使う慣用句なので覚えておきましょう。

例文
あの人は言いたくないことが多いのか言葉を濁してばかりだ。そろそろはっきりした返答をもらいたいものだ。

口を濡らす

これは現代ではほぼ使わない表現で、少し飲食するといった意味があります。ちなみに、亡くなった直後の人の口を濡らす儀式のことを「末期の水」といいます。由来としては釈迦が無くなる前に水を欲したことから、死者の喉の渇きを潤すためとして定着したようです。

口を糊する

「口を糊する」とは、「糊口をしのぐ」と同じく、なんとか生活する、やっと生計を立てるといった意味がある慣用句。ひもじい思いをするには嫌ですが、時には忍耐も必要なのです…。

例文
正直言って口を糊するような暮らしは父さんだってもうしたくない。でもうちは貧乏だから仕方がないんだ。

口を引き垂る(くちをひきたる)

こちらも現代では使わない表現ですね。引き垂るとは垂れ下げるという意味で、「口を引き垂る」とは口をへの字に曲げるという意味になります。不機嫌な様を表現する言葉。

口を顰む(くちをひそむ)

「口を顰む」は他人に聞かれないよう小さな声で、ひそひそ声で話す、という意味になります。かなり昔の表現で、現代では「声を潜める」として使われるのが一般的。

口を封ずる

何かしら秘密知っている人に、他言しないように頼んだり脅したりして黙らせることを「口を封ずる」と表現します。
「口封じ」とも言われますね。フィクションなどでは犯人が口封じのために登場人物を亡き者にすることがよくあります。

例文
私の口を封じるために彼は食事を奢ってくれたのかもしれない。しょうがないから秘密にしておくけど本心では今すぐ暴露したい気分だ。

口を守ること瓶の如くす(くちをまもることかめのごとくす)

瓶に液体を注いでいる時、勢いよく入れると溢れ出てしまいますよね。同じように言葉も勢いよくしゃべると言う必要のないことや言うべきでないことも出てしまうことがあります。従って、そういった不用意な言葉が出ないよう慎重にすることを「口を守ること瓶の如くす」と言います。これは慣用句というより故事成語ですね。

口を毟る(くちをむしる)

これもまた現代では使われない言葉ですが、誘いをかけて欲しい言葉、情報を引き出すこと、かまをかけるという意味があるのが「口を毟る」ですね。が、今では使われない言葉の一つですので普通に「かまをかける」と言ったほうが通じやすいと思われます。

口を結ぶ

「口を結ぶ」とは口を閉じるとか、黙るといった意味になります。割とそのままの意味ですね。固く口を閉じた状態のことを表現する時に使うといいでしょう。書き言葉として使うのがほとんどです。

例文
校長先生は言うべきことは全て述べたとばかりに口を結び、後のことは他の先生に任せた。

口の端に掛かる(くちのはにかかる)

「口の端に掛かる」とは自分またはその関係者が話題になったりうわさになるという意味。口の端に上るとほぼ同じ意味となります。

例文
自分では全く望んでいないが、友達によれば僕はクラスの女子の口の端に掛かることが多いらしい。なんだかむず痒い気分だ。

口の端に掛ける

「口の端に掛ける」も人々のうわさになるという意味ですが、もう1つ意味があり口に出して言う、という意味があります。文学的に表現したい時に使うといいかも?ただ、現代ではほぼ使われない表現ですのでその点は注意しましょう。

口裏を引く(くちうらをひく)

「口裏」とは人の言葉で吉だとか凶だとかを占う占いが語源(口占)で、そこから人の言い方などから察することが出来る本心、また本心を察することが出来るような話しぶりといった意味があります。

「口裏を引く」とは、相手の本心を聞き出そうとすること、探りを入れるといった意味があります。

例文
彼女の話しぶりを見るに、どうやら私の口裏を引きたいようだ。だがそんな事は私にはお見通しだ。それっぽいことを言ってごまかしてやろう。

まとめ:

というわけで口を使った慣用句パート5をまとめました。今まで同様、今でもバリバリ使えるものもあれば使っているのを見たことがないものもありました。

次のパートで口を使った慣用句は最後になりますが、やはり使わないものが多くなりそうです。ともあれ、知っているのといないのでは教養的な面で違います。なのでぜひ次のパートも見てもらえれば嬉しいですね!

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