口を使った慣用句、パート6です。今回で口の慣用句は終了となりますが、今でも使えるもの、使えないものが混在していましたね。どちらかというと使えないものの方が多いのですが、それでも昔はこういった慣用句で表現していたというのを知ると、知的好奇心が刺激されて楽しいですよね。

パート6で紹介する慣用句もやはり今ではあまり使わないものが多いのですが、気に入ったものがあればぜひ文章を書く時に使って自分のものにしてもらえればなぁと思います。

というわけで、早速見ていきましょう！

口を使った慣用句とその使い方・例文

口脇黄ばむ（くちわききばむ）

経験が浅く未熟な者をあざけって言う言葉ですね。現在では使われない言葉の一つ。同じ意味の言葉として「くちばしが黄色い」や「青二才」があります。現在使うなら後者でしょうね。ちなみに、ひな鳥のくちばしは黄色いのですが、成長に伴い別の色に変化していくことが語源と考えられますね。

口脇を下ぐ（くちわきをさぐ）

これまた現在は使われない慣用句で、口をへの字に結ぶという意味。「口（脇）を引き垂る」と同じ意味になります。

口三味線に乗せる

「口三味線に乗せる」とは、言葉巧みに相手を誘いに乗せてだます、上手く丸め込むように言いかけるという意味があります。「口車に乗せる」と同じ意味ですね。「口三味線」とは口で三味線の音、曲節をまねすることですが、それができるくらい口がうまいということなのでしょう…。

口切りの茶事（くちきりのちゃじ）

これは文章中で使う比喩的な慣用句というよりもほぼ名詞ですね。「茶道におけるお正月」とも言われる11月に行われる行事のこと。一般的に使う言葉ではありませんが、茶道をしている人からすれば知っているのが当たり前の言葉だと思います。

口吻を洩らす（こうふんをもらす）

「口吻を洩らす」は内心をほのめかす、それとなく分かるようなようなものいいをするという意味があります。ちなみに口吻とは口先や口元を意味します。吻という漢字自体ほとんど見かけることがないのですが、なにげに漢検準１級レベルだそうで、そりゃ見かけないようなぁという話です。

口程にもない

実際は大したこともないのに口だけは達者な人のこと、言うほどでもない人に対してのあざけりとして使われる言葉です。「大口をたたく」と似たような意味ですね。

あったら口に風邪ひかす

この言葉で使われている「あったら」とは、惜しくもという意味。せっかく親切で言い出したことなのに、無駄になってしまうたとえですね。「あたら口に風を入る」と同じ意味です。故事成語の一種ですね。

唇亡びて歯寒し

こちらも故事成語。お互いに助け合っていた一方が滅びると、もう一方も危うい状態になるたとえのことを言います。これは業務提携していた会社同士、夫婦関係、協力関係のあった集団など、色々な状況で使える言葉でしょう。

唇を反す

「唇を返す」とは憎んで悪口を言うことを意味する慣用句です。現在ではほとんど使われていませんが、今でも使えそうな表現ですね。「唇を翻す」も同じ意味となります。

唇を噛む

悔しさや怒りなどの気持ちが強まると、思わず口元に力が入りますよね。そういった時に使えるのがこの「唇を噛む」という表現です。汎用性も高いので使いやすいはず。

唇を尖らす

「唇を尖らす」は不満や多少の怒りを表現する慣用句です。「口をとがらす」と同じ意味ですね。

まとめ：

はい、というわけで口を使った慣用句パート6は以上となります。どちらかと言うと今では使わない表現が多い中、面白いなと思ったものは見つかったでしょうか？

言葉は日々変化していて、今まではそのような使い方はしなかったのに…というようなものも増えています。流行り廃りのようなものですが、慣用句などを調べていると言葉は時代によって変化する生き物のようなものだというのがわかってきて面白いです。

今回はこれでおしまいですが、少しでも興味があれば色々な慣用句や故事成語を調べてみてほしいなと思います。きっと新しい発見があるはずですよ！