【口】身体の慣用句とその使い方・例文パート4

【口】身体の慣用句とその使い方・例文パート4

口を使った慣用句、パート4です。ここまでのパートを見てきた人ならわかるかもしれませんが、割と意味がダブっているものもありますね。似たようなものはまとめて覚えられるので結構楽かもしれませんが、ニュアンスが微妙に異なる場合もあるので適切なものを選ぶのはちょっと大変かも。

ただ、使えるように慣れば語彙力はかなり高まるので、気に入った慣用句はぜひとも覚えて、実際に作文などで活用してみてもらえたらなと思います。

というわけで、早速パート4を見ていきましょう!

口を使った慣用句とその使い方・例文

口と腹とは違う

「口と腹とは違う」とは、言っていることと考えていることが異なっているという意味。仏教徒だと言いながら本心ではキリスト教のつもりでいた江戸時代の人とかそうですよね。言うこととすることが違う、という意味ではないことに注意島小学校!

例文
近所の人は、口では私のことを良いように言ってくれるが本心では腹が立っているに違いない。口と腹とは違うというのをこんな身近で感じるとは思いもしなかった。

口に税はかからない

家を買いたいだとかクルーズ旅行がしたいとか、夢を話すのは楽しいですよね。実際にやろうと思うとめちゃくちゃお金がかかりますが、言うだけならタダ。「口に税はかからない」とはそういった意味の慣用句です。ただし、他人の秘密だとか言うべきではないことに対しては使わないので注意しましょう。

例文
うちの子は昔大きな車が欲しいだとか、広い家に住みたいという将来の話を聞かせてくれた。口に税はかからないと思いながら聞いていたが、まさか本当に実現してしまうとは考えもしなかったことだ

口に年貢はかからない

この慣用句は上記の「口に税はかからない」と全く一緒の意味です。同じものとして「口に地代はでない」もあります。が、今風な文章にするなら「口に税はかからない」を使うのが良いでしょう。

口に乗せる

「口に乗せる」は「口車に乗せる」と全く同じ意味となります。相手をおだててだましたり、調子に乗らせるための巧みな話術のことですね。

例文
あの人は他人を口に乗せるのが得意なんだ。だから私は近づかないようにしている。

口に乗る

「口に乗る」も「口車に乗る」と全く同じ意味で、甘い言葉にまんまとだまされるという意味ですね。それ以外に人々の話題になるとか、広く知られるといった意味があります。ただ基本的には前者の意味で使われることが多いですね。

例文
あえて私は彼の口に乗ってやったのだが、まさか本当に万馬券になるとは思いもよらない出来事だった。気分がいいので一杯やるつもりだ。

口に針

物言いが刺々しく、皮肉や悪意が感じられることを「口に針」と表現します。検索しても魚釣り関係の記事が多くでてくるのですが、そのままの意味ではないので注意しましょう!

例文
彼女は私に対していつも皮肉交じりの言葉をかけてくる。口に針とはいうがこれほどあたりがキツイと気分が悪い。

口の虎は身を破る

口が軽く他人の秘密もホイホイ喋ってしまうような人は手酷い仕打ちを受ける事が多いですよね。この慣用句は、うかつなことを言うと自身を滅ぼす→軽率な物言いは慎むべきである…といった意味があります。口の虎というとちょっと格好いいですが、あまり良くない意味なので気をつけて使いましょう。

例文
口の虎は身を破るという慣用句を聞いて思い浮かべるのは彼だ。他言するなと言われたことまで無意識に話してしまうので、いつか大きな失敗をするだろう。

口は口、心は心

これは最初に紹介した「口と腹とは違う」と同じく、口で言うことと心で思っていることは違うという意味です。こちらのほうがなんだか格言っぽくてちょっと格好いいかも?

例文
お父さんは父の日のプレゼントなんて別に用意しなくても良いと言っているけど、本当は期待しているのよ

口は心の門

「口は心の門」とは心の中で思っていることはふとしたことで口に出してしまいがちなので十分注意しよう、という意味の慣用句。ふとしたことでポロッと言ってしまったことが、相手を怒らせたり悲しませたりすることもありますから言葉にはよく注意したいものです。

例文
僕が言った一言で彼女は悲しみがにじむような表情になった。慌ててフォローしたが口は心の門だと肝に銘じなければ。

口は禍のもと

「口は禍のもと」は「口は心の門」と似ている慣用句でよく使われますよね。つい口から出た言葉が思いがけない禍をもたらすことがあるという意味です。前者よりも負のイメージ(?)が強いので、自分ではどうにもできないことが起きそうだという場面で使うといいでしょう。「口は禍の門」ともいい、同じ意味で使われます。

例文
会社の機密情報だとは思わず他社の社員に話してしまったことが、まさか自分の会社を窮地に陥れるとは思いもしなかった。口は禍のもとというが、これほどの惨事になると彼はクビだけでは済まないだろう。

口塞がる(くちふたがる)

呆れて、呆然として口が塞がったままものも言えない状態のことを表現します。最近では「開いた口が塞がらない」を使ったほうが分かりやすいですね。

口を合わせる

これは「口裏を合わせる」と全く同じで、事前にしめしあわせて同じことを言うという意味の慣用句ですね。短縮した形となるので文章によっては使いにくい(わかりにくくなる)ことも考えられますから、状況に応じて「口裏を合わせる」を使ったほうがいいかも。

例文
あの二人、口を合わせていたんじゃなかったのか?言うことが食い違っているぞ。

口を掛ける

ちょっとそこのあんた!と人に話しかけたり誘ったりすることを、「口を掛ける」と表現します。「声を掛けると」ほぼ同じ意味ですが、遊女などを座敷に呼ぶといった意味も。

例文
この作業は一人では無理だろうと思ったから3人ほど口を掛けておいた。これで問題なく進むはずだ。

口を固める

「口を固める」は他言しないという意味の慣用句。「口固め」でも他言するのを止める、口約束をする、といった意味があります。

例文
教えてもらった情報はあまりに重大な機密だったので、流石に口を固めるしか無い。

口を箝する(くちをかんする)

これも「口を固める」と同じような意味ですが、口をふさぐ、口を固める、といった意味があります。わかりやすく口をふさぐといえば事足りるため、わざわざ使う必要はないかも。バリエーションとして覚えておくくらいで良いでしょう。ちなみに、「箝」という漢字にはそのままで「口を閉じる」と言った意味があります。漢検1級レベルなので日常生活で目にすることも使うこともほぼ無い漢字でしょう。私は「箝口令(かんこうれい)」くらいしか使用したのと見たことが無いです…

例文
彼女に痛いところを突かれたのか、彼は口に箝をしたままだ。

口を緘する(くちをかんする)

この言葉は上の「口を箝する」と全く同じで口を固めるという意味になります。使用している漢字が違うだけですね。この「緘」もそれだけで閉じる、ふさぐ、といった意味があります。なにげにこの漢字も漢検1級レベル。

口を過ごす

「口を過ごす」には2つ意味があり、1つは言わなくても良いことを言う、余計なことを言うという意味ですね。これは「口が過ぎる」とほぼ同じ意味です。もう1つは、生計を立てるといった意味です。ただし表現としてはやや古いため「口が過ぎる」と表現したほうが良いかもしれません。

口を酸っぱくする

なんども繰り返し意見したり注意することを、「口を酸っぱくする」と表現しますね。よく使う表現なのでマスターしておくと作文の幅が広がります。

例文
口を酸っぱくしてあの子には言い聞かせているから多分大丈夫だよ。

まとめ:よく使うものを厳選して覚えよう!

さて、口を使った慣用句パート4をまとめました。最初でもお伝えしましたが、やはり数が多いと意味がダブっていたり今では使わない表現のものもあります。日常では使わない漢字を使用した慣用句もありますよね。そういった言葉は教養として覚えておくくらいで十分。

必要なのは破綻なく慣用句を活用できることです。そういう意味では、よく使われる慣用句をよく観察しておく事が大事でしょう。そのためには欠かさず日々読書をしていくのが望ましいですね。

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