【顔】身体の慣用句とその使い方・例文パート2

【顔】身体の慣用句とその使い方・例文パート2

顔を使った慣用句パート2です。パート1はほとんどが現在でもよく使われる慣用句でした。パート2で紹介する慣用句もよく使われるものですから、覚えておいて損はありません!というわけで、早速見ていきましょう。

「顔」を使った慣用句の使い方と例文

大きな顔

「大きな顔」というと物理的にデカイ顔のことを想像してしまいますが慣用句としての意味は、偉そうな顔つきをすることや威張った顔であること、悪いことをしておきながら平気な態度をとること、などです。意味もないのに大きな顔をしているとそのうち痛い目に遭う可能性があるので気をつけましょう。

例文
アイツは近所のガキ大将で大きな顔をしていたが引っ越しすることになった。これで嫌な思いをしなくて済むと思うと胸がすく。

汗顔の至り(かんがんのいたり)

あまりにも恥ずかしいと頭に血が上って汗が出てきますよね。そこから非常に恥ずかしく感じることや恥ずかしさで顔に汗をかくことを「汗顔の至り」と表現します。私はこの慣用句を使っている文章を今まで見たことがないのですが、「●●の至り」系はこれ以外にも複数あります。

例文
あの子は汗顔の至りといえるほど汗をにじませている。よほど人前に出るのが恥ずかしいのだろうか。

顔色無し(がんしょくなし)

読み方としては「かおいろなし」ではなく「がんしょくなし」となります。力量の違いに圧倒されて手も足も出せず顔色を失うさまや、驚きや恥、恐れにより顔が青くなる、といった意味になります。こちらも使っている文章を見たことはありませんでした。読んで字のごとくの意味なので、活用してみるのもありかと思います。

例文
あまりの衝撃的事実に彼女は顔色無しとなってしまった。落ち着くまでに1時間も掛かったのだとか。

涼しい顔

自分に関係があることなのに、まるで関係ないかのように澄ました顔をすることを「涼しい顔」と表現することがありますね。また、冷静であるという意味で使われることも。どちらかと言うと前者の意味で使われることが多い気がします。

例文
あの野郎自分が事件の根幹に関わっているってのに、取り調べにも涼しい顔して淡々と受け答えしてやがる。

何食わぬ顔

「何食わぬ顔」は知っているのにまるで知らないような素振りをする、あるいはそういった顔つきのことですね。「涼しい顔」と似ていますが使い方が違うので注意しましょう。

例文
私が何度も指摘したことなのに、「今はじめて聞きました」なんて何食わぬ顔で言うんだから大層肝が座っているよ。

澄ました顔

その程度なんともないとでも言う家のような顔つきや表情のことを「澄ました顔」と表現します。「涼しい顔」と似ているのですが、若干ニュアンスが違うかなという程度。

例文
彼は教科書を忘れて内心ヒヤヒヤしているくせに、授業が始まると澄ました顔をしてあたかも忘れ物はありませんといった表情をしている。

知らぬ顔の半兵衛

知らないフリをする慣用句が続きますが、「知らぬ顔の半兵衛」も知らん顔をするという意味。素知らぬ顔で全く取り合わないことをこの慣用句で表現します。ちなみに半兵衛とは戦国時代の竹中半兵衛のことで、知略に長けており敵側のスパイをスパイと知りながら知らないふりをして情報を聞き出したりしていた、というのがこの慣用句の語源なのだとか。

例文
当然その事実は私は知っていたが、ここで言うのもはばかられるので知らぬ顔の半兵衛を決め込んだ。

顔に書いてある

何を考えているのか、どんな感情なのかが表情からわかる、読み取れることを「顔に書いてある」と表現します。この慣用句はよく使うので何度も目にしたことがある人もいるでしょう。え?見たこと無い?いやいや、それはウソでしょう、だって顔に書いてありますよ。

例文
あの人が何を考えているのかなんてすぐ分かるでしょ。だって顔に書いてあるんだもの。

顔に出る

「顔に出る」も「顔に書いてある」と同じで、考えていることや感情が表情から読み取れる状態のことですね。「顔に書いてある」が客観的に見たときの言葉に対し、「顔に出る」はどちらかというと主観的に見た時に使う言葉でしょうか。

例文
私は考えていることが顔に出やすいタイプなので、人と話すと相手のペースに乗せられやすい。

顔を売る

「顔を売る」は世間に広く知られるようになるために行動する、という意味。「顔が売れる」と似ていますが、こちらはまだ知られていない状態ですね。顔を売るのは世渡りでは必要なことですので、どうにかして自分を知ってもらおうとあれこれしようとする人もいますね。

例文
彼は自分の顔を売るためにセミナーの懇親会には毎回顔を出すようにしている。

顔を拵える(かおをこしらえる)

「顔を拵える」は化粧をする、顔を作る、といった意味になります。「拵える」は身支度をするという意味で使われます。「顔を作る」と同じ意味ですが、文脈によってはこちらのほうが化粧をするという意味で使いやすいかも。

例文
急遽入った予定のため彼女は急いで顔を拵え家を出たらしい。なるほど中途半端な化粧だとああなるのか…。

顔を揃える

これは「顔が揃う」とほぼ同じ意味で、集会などに主要な人物が全員揃うという意味の慣用句ですね。

例文
これだけの精鋭が顔を揃えるなんて、今日の会議は白熱したものになりそうだ。

顔を潰す

これも「顔が潰れる」と同じ意味。面目を失わせるという意味で使われる慣用句ですね。

例文
いいか、くれぐれも上司の顔を潰すような真似はするんじゃないぞ。

顔を振る

顔を振るのも縦か横かで意味が変わってくるわけですが、この「顔を振る」という慣用句の意味はNOを示すために横に振るという意味になります。同意を示す時に使うのは誤った使い方となるので注意しましょう。

例文
あの子に話を聞いてみたが、質問したことに対して顔を振るばかりだった。

顔を汚す

「顔を汚す」は「顔に泥を塗る」や「面汚し」と同じで、面目を失わせると言った意味合いの言葉になります。どちらかといえばやや丁寧な表現になるので、より強い表現にしたい時は「面汚し」などを使ったほうが、面目を失わせた感じを強調できるでしょう。

例文
彼は名門家系に生まれながらも傍若無人な立ち振舞いにより勘当されたんだ。先祖の顔を汚したとも一時期報道されたが、数年後には文化人とも言われるようになっているんだからわからないものだ。

顔見世の二番目

これは慣用句としてより歌舞伎の用語として使われることがほとんどですが、慣用句的な意味は家族が多いことのたとえとなります。歌舞伎での顔見世狂言は年一度の新規の役者で行われる興行のことで、その二番目は出演者が多いことから転じてこの意味になったのだとか。現在では使われることはほぼない慣用句といっても良いかもしれませんね。

まとめ

というわけで、顔を使った慣用句パート2をまとめました。口を使った慣用句は半分くらいは現在では使われない慣用句だったのに対し、顔を使った慣用句は見たこともあるし使ったこともある、そして今でも頻繁に見かけるし使われている慣用句ばかりでしたね。

意味的にもわかりやすくて汎用性が高いので、ぜひとも作文などで活用して語彙のレパートリーを広げてみてほしいなと思います。

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