【面】身体の慣用句とその使い方・例文パート1

【面】身体の慣用句とその使い方・例文パート1

面は顔と同じように使われる漢字ですが、面(ツラ)という方がなんというか乱暴な印象を感じますね。私達が聞き慣れている「面」を使った慣用句もちょっと乱暴な意味合いを持つものもありますし、そうでない慣用句もあります。

ここでは「面」を使った慣用句とその使い方を2記事にわけてまとめていきますよ!身体に関する慣用句は多いのですが、面はどちらかというと少ない部類に入りますが、知っているのは3つくらいしかないかも…?

というわけで、早速見ていきましょう。

「面」を使った慣用句と使い方

面の皮

面と書いてツラと読みます。なので、「つらのかわ」と読みます。そのまま単独で使われることはなく、後述の「面の皮が厚い」「面の皮千枚張り」「面の皮を剥ぐ」といった具合に組み合わせて使われます。

赤面の至り

「○○の至り」という慣用句は他でもあるのですが、「赤面の至り」は顔が赤くなるほど恥ずかしい、恥ずかしがることを意味します。

「至り」とは最高の状態に達したことを意味する言葉ですので、赤面の至りとなると最高潮に恥ずかしい状態といえますね。

例文
先日の飲み会では飲みすぎてリバースするなど○○さんに恥ずかしい姿を見せてしまった。どの面下げて会えば良いのか全くわからず赤面の至りだ。

面の皮が厚い

「面の皮が厚い」とは、ずうずうしいとか厚かましい、恥を恥とも思わない状態のことを指した慣用句です。

褒め言葉でもなんでもありませんが、若い時はちょっとしたことでも恥ずかしいはず。でも20代を過ぎ30代にもなると多少のことでは恥ずかしさを感じることもなくなってしまいます。まさにこれを面の皮が厚くなるとでも呼べば良いんじゃ?という具合ですよ。

例文
あの子は英語の授業で毎回のごとく教科書を忘れて隣の子に見せてもらっているけど、なんとも思っていないらしく実に面の皮が厚い。

面の皮を剥ぐ

この「面の皮を剥ぐ」という言葉は、面の皮が厚い人=厚かましい人にどうにかして恥をかかせてやるというちょっと意地悪な側面があります。

まあ面の皮が厚い人も大概なので「蝸牛角上の争い」(ものすごくスケールの小さい争いごと)ってとこですかね…。

例文
彼はいつも私の教科書を見せてと言ってくるので、あえて私も教科書を忘れたことにした。たまには彼の面の皮を剥いでやるくらいいいじゃないか。その後二人とも叱られました

どの面下げて

「どの面下げて」を使う時はものすごく怒っているときですよね。相手に対してどんな心づもりで、どんな顔で面会しに来たのかを罵りながら言うときの慣用句。合わせる顔がないほどの失態を冒した人が言われるパターンが多いです。

例文
過失9割が相手方の責任だというのに、どの面下げて見舞いに来たというんだ?母さん、帰ってもらえ!

泣き面に蜂

辛いことがあると更に重ねて辛いことが起こるということを表現するのがこの「泣き面に蜂」という慣用句。泣いている顔を蜂がさしてさらに泣かせる、ということから来ています。

実際に辛いことって度々起こるんですよね。そのたびにもうダメだ…と思うこともしばしばあるものですが、それでもメンタルをポジティブに保つことが大切だったりするんですよね。

例文
今日は朝ごはんを食べる時間が無かった上に弁当も忘れてきてしまった。あまりにも腹が減りすぎて辛い。泣き面に蜂とはこのことか。

吠え面をかく

スポーツやゲームの試合などで、あと一歩というところで負けたとき、本気で悔しいですよね。「吠え面をかく」は相手を負かして悔しがらせてやるといった状況で使う慣用句です。

が、逆に自分が吠え面をかくことになるというのも往々にしてあるものなので、油断は禁物なのです。

序盤は自分が圧倒的に有利だったので調子に乗って「吠え面かかせてやるぜ!」と言ったは良いもの、後半でボロ負けして吠え面かいたのは自分だった。

面置かむ方無し(おもておかむかたなし)

これはほぼ使うことのない慣用句だと思いますが、恥ずかしすぎて顔向けできないことを表現するための言葉です。

頑張って使ったところで読む方も理解してくれる慣用句かはちょっと怪しいので、使うのは控えたほうが良いともいます。素直に、「恥ずかしくて顔向けできない」と書けば伝わりますしね…。

面も振らず(おもてもふらず)

おもてとは顔のことで、よそ見することなくまっしぐらに突き進む様を表現した慣用句です。まさに猪のように突っ込んでくる状態を表す言葉ですので、使い所はたくさんあると思いますね。

例文
彼は彼女と一緒の大学に進学するため、今まで大好きだったゲームをやめ面も振らず勉強した。その結果同じ大学に入学できたそうだ。

面を冒す(おもてをおかす)

この慣用句における面とは自分より目上の人のことで、組織の顔のような人物を指します。メンツを潰すといった言葉と概ね同じ意味ですので、わざわざこっちを使う必要も無いかもしれません。

面を起こす(おもてをおこす)

これは面目の意味がわかっていないと使えない慣用句で、面目とは世間体のことです。ここでの面は面目の面なので、目上の人が目下の者に対して名誉を立てて世間体を施してやることを意味する慣用句となります。

面を曝す(おもてをさらす)

今まで自分の顔を隠していた人が、報道やイベントなどで顔を出す状況のことを表す慣用句ですね。それとは別に恥をさらすという意味でも使われるので、使い所には注意が必要かもしれません。

面伏せ(おもてぶせ)

恥ずかしくて顔を伏せてしまう状態を「面伏せ」と表現します。どちらかというと、不名誉なことをしでかしてしまって顔を上げられない状況で使う慣用句でしょうか。

例文
彼は祝いの席ではしゃぎ過ぎてしまったことを思い出したのか、顔を下に向けたままだ。面伏せな心境なのだろう。

面を向かう(おもてをむかう)

概ね「面と向かう」と同じで、人に顔を向ける、正面から対抗する(敵対する)といった意味がある慣用句です。ただ、こちらのほうが古い言い回し表現と言えますね。

なので実際に使う時は「面と向かう」を使えば問題ありません。

面から火が出る(つらからひがでる)

「顔から火が出る」と同じ意味の慣用句。あまりの恥ずかしさに顔が真っ赤になること。この慣用句は不名誉な時に使うことはあまりなく、純粋に恥ずかしい時に使う印象のほうが強いですね。

例文
大勢の前でスピーチすることを考えただけで面から火が出るようだ。入念に練習しなければなるまい。

まとめ:面(つら・おもて)を使った慣用句は結構あるが古い印象

というわけで、面を使用した慣用句パート1をまとめました。身体を使った慣用句でも面はそんなに多いわけではありません。顔の方が多いです。それに、今ではあまり使われない慣用句のほうが多いです。

使われない慣用句を使っても、読む側はどういう意味かわからず困るので、分かりやすい慣用句を使っていくのがベターかなと個人的には思います。言葉は日々変化していくものと割り切っておくほうが、「実は使い方が増えました」みたいな言葉にもすぐ対応できて良いかもしれませんね。

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