【パート1】虫の慣用句とその使い方・例文
虫というとどんな印象をもっていますか?
ゴキブリとか蜘蛛、芋虫みたいな虫ばかりを想像してなんか気持ち悪いと思ったりする人もいれば、カブトムシやクワガタ、ハンミョウなどを見てかっこいいと思う人もいるでしょう。てんとう虫や蝶をかわいいと感じる人だっているはず。
虫に対する印象は人それぞれだと思いますが、それは昔の人もそうだったようで、虫を使った慣用句は50個ほどありますので、ここでは1/3を紹介。一度は聞いたことがあるフレーズもあると思うので、それらを一つ一つ追いながら読んでみてもらえればなと思います。
目次
虫を使った慣用句・例文
虫がいい
「虫がいい」というのは割と頻繁に使う慣用句ですよね。言葉そのままに受け取ると良い虫ってなんだよという話ですが、自分ばかり都合のいい考え、ずうずうしい、身勝手であることを意味します。
どんなところにいても自分勝手なことばかりして他人のことなんか考えてなさそうな人はいるもの。そんな人に対して、客観的に評価する際に使ってやるといい慣用句でしょう。
↑こんな人は実際にたくさんいるので要注意です!
虫が知らせる
「虫が知らせる」や「虫の知らせ」といった慣用句には何かが起こりそうな予感という意味があります。虫は小さいので気がついたら近くにいたとか、ハッとしたときに見つけるものです。同じように、何かしらの予感もふとした時に湧いてくるもの。そういったことが関係しているフレーズに思いますね。
実際に虫が「よう、いい話があるぜ!」とか教えてくれたら嬉しいんですけどね~。
ちなみに良い予感、悪い予感両方に使えるので、色々作って遊んでみましょう。
虫が好かない
別にそんなに悪い印象はないはずなのに、なんだか好きになれないという物事や人物ってありますよね。そんな時に使うのが「虫が好かない」という慣用句。
虫は自分の好きな草花にくっついているものですが、その虫さえも好かないようなものもあるのでしょう。なんとなく好感が持てないといった時にこの慣用句を使って表現します。端的に言えば気に食わない、いけ好かないという意味ですね。
個人的感情が強く出る慣用句でしょうね。
虫がつく
「虫がつく」の頭にはよく「悪い」がついて「悪い虫がつく」のように使われることのほうが多いですね。ドラマや漫画などでは父親が娘に対して「悪い虫がつかないようにしなければ…」と気を揉むシーンは定番ですね。
遊びだけの関係を求めている男は概ね「悪い虫」やに分類されることでしょう。
虫酸(または虫唾)が走る
この慣用句はたまにネタにされますね。「むしさんが走る…」と読むのではなく「むしず」です。
非常に不愉快な様を表した慣用句ですが、そもそもむしずってなんでしょうか。
虫唾はお腹がむかむかした時にい辛口に出てくる酸っぱい液体で、それが口に出てくる(走る)から「虫唾が走る」というのが一つの説。もう片方、虫の酸と書く方は寄生虫による酸っぱい液から来ているという話です。
なので、虫唾でも虫酸でもどちらでも問題なく「不快でたまらない状態」を表現する慣用句となります。
↑ちょっとこれは重症ですね。早めの配置転換が必要でしょう。
虫の息
「虫の息」とは今にも死にそうな状態や弱々しい呼吸を意味する慣用句ですね。別に虫に限らず生き物は死ぬ間際には呼吸が弱くなるものなので、なぜあえて虫なのかがちょっと不思議ですよね。
犬や猫などの寿命の長い動物よりも圧倒的に寿命の短い虫の死に際を見ることのほうが多いので、昔の人は「虫」を使っているのかもしれませんね。
イイハナシダナー
虫の居所が悪い
虫の居所が悪いとは、ちょっとしたことでも機嫌が悪くなりやすい状態にあることを意味する慣用句。ちょっとでも地雷に触れるとキレるような状態のことですね。
歳を取ると色々なことがどうでもよくなるのですが、10代20代の頃はちょっと気に触ることがあるとすぐに機嫌が悪くなるなんてこともしょっちゅうでした…。でも無闇矢鱈に怒ると無駄なストレスがかかるし体にも良くないので気をつけましょう。
虫も殺さない
とにかく優しい性格の人っていますよね。全然怒らないし、騒ぎもしない…何をしても許してくれるような人。まあそんな人が近くにいたら逆に怖いんですけど、そういった非常に穏やかで大人しい性質のことを「虫も殺さない」と慣用句で表現されます。
顔の近くを飛び回るハエとか、好き放題に血を吸う蚊がいるだけでイライラして殺してしまうものですが、そういった虫にもイライラしないような性質のたとえです。まあ流石にそんなレベルの聖人は珍しいでしょうが…。
とりあえず、おとなしくて穏やかな性質(性格)という風に覚えておくと使いやすいでしょう。人物の性質や性格を表すのに使われる慣用句です。
蓼(たで)食う虫も好き好き(すきずき)
「タデ」ってそもそもなんだという話なのですが、夏~秋に赤や白の穂状の花が咲くタデ科の植物です。お刺身についている赤いフニャッとしたツマ、ありますよね。アレのことです。
辛味があるはっぱなので好みが分かれるのですが、このタデを好んで食べる虫もいる…底から転じて人の好みも千差万別ということから「蓼食う虫も好き好き」と言われるようになったのかなと思います。
飛んで火に入る夏の虫
風情を感じる慣用句「飛んで火に入る夏の虫」。これは夏の夜に日の明かりにつられて飛んできた虫が火に触れて焼け死ぬのは、バーベキューやキャンプなどをよくしている人なら結構見る光景かもしれません。
底から転じて、自分から危険に飛び込む様を「飛んで火に入る夏の虫」と表現するようになったのでしょう。別に夏でなくても使える慣用句なので、バンバン使うといいですよ!
塞ぎ(ふさぎ)の虫
この慣用句はあまり聞き慣れないかもしれませんね。「塞ぎの虫」とは、落ち込んで気分がふさぐことを虫のせいにしてしまうという突っ込みどころのある慣用句です。
どうして虫のせいにしてしまうのかはよくわかりませんが、昔の人は虫を見たら塞ぐような気分にでもなったのでしょうか。不思議ですよね。
獅子身中(しししんちゅう)の虫
これもまたなかなか聞かない慣用句ですね。これは獅子の体の中で飼われている虫が獅子を殺してしまうということからきた慣用句で、元々は仏教関係の言葉だったようです。仏の弟子が仏教に害を与えることから転じて、何かしらの組織に属していながらその組織に害を与える者という意味になったようです。
使い所がやや難しいですが、背信行為(会社の信頼に対する裏切り)を行う人間を指す言葉だと思えばよいでしょう。
蝸牛角上(かぎゅうかくじょう)の争い
かぎゅうってなんだ?と思うかもしれませんが、カタツムリのことです。角上とはカタツムリの角の上という意味。なのでこの慣用句は「ものすごく小さい世界での争いごと」という意味になりますね。
カタツムリという存在自体が小さいのに更にその角の上での争い事となると、ものすごく小さくてどうでもいいって言いたくなるレベルですね。そういったしょーもない争いごとに対して使うのが適切な使い方と言えるでしょう。
虫が起こる
虫が怒る…ではなく、虫が起こるです。そもそも虫が起こるって読んだだけではさっぱりわからん!どういう意味だという話なんですが、これは子供の癇癪が強くなったり、なんだかよくわからないけど何かをしたくなってムズムズする(主に欲望の方面)といったような意味を持ちます。
虫が納まる
こちらは逆に、怒りや癇癪が収まることを意味する慣用句です。別に虫って付けなくても怒りが収まるって言えばいい話なんですが、昔に人は何かと虫を使って表現したかったのかもしれません。
虫が齧る(かぶる)
「虫が齧る」は腹痛が起こったり、産気づいて陣痛が起こることを意味する慣用句ですね。虫に噛まれると何の前触れもなく痛みが走るものですが、おそらくそういったことから使われるようになったのだと思います。
まとめ:虫を使った慣用句はとにかく多い!
はい、ここまで16個もの虫関連の慣用句をまとめました。虫は慣用句として使われているものの中でも多いほうです。体に関する慣用句はもっと多いですけどね(笑)
私も知らない慣用句が多くて面白いのですが、ちょっとした豆知識として仕入れておくことで何かしら文章を書く時に使えると思います。
なので、ぜひともいくつか覚えて使ってみてほしいなと思います!