【パート3】虫の慣用句とその使い方・例文
虫を使った慣用句パート3です。虫の慣用句は今回で最後ですね。名残惜しい…かどうかはよくわかりませんが、少なくとも身体を使った慣用句よりは数が少ないですから、頑張ればきっと記憶の片隅には残るはず…!
というか体を使った慣用句の多さが異常なんですけどね…。それは追々まとめていきますが、今回は虫慣用句のパート3ですから、一気にまとめていきますよ!
目次
虫を使った慣用句・例文
虱の皮を千枚に剥ぐ(しらみのかわをせんまいにはぐ)
シラミって今は公衆衛生が整ってきたためほとんど目にすることはありませんが、それでもやっぱり小学校ではプール開き前にシラミ検査が行われていますよね。
このシラミという虫は1ミリ~4ミリと非常に小さいです。そこから転じて物惜しみをしたりケチであることを表現するようになったのが「シラミの皮を千枚に剥ぐ」という言葉。
たくさん持っているのにケチケチと出し惜しみしたりする人に対して「そんなシラミの皮を千枚に剥ぐようなことするなよ…」と言っておけばおそらく適切です。怒るかもしれませんけど。
虱の皮を槍で剥ぐ
こちらもシラミ関係の慣用句。槍は鉈(なた)とも表現されるのですが、これは小さなことを処理するのに大層大げさに行うことを例える言葉。
例えば子供の10歳の誕生日にバースデーケーキを用意するとしましょう。そのケーキを有名パティシエに作ってもらうとか、わざわざ友人知人親戚を呼んで盛大にパーティーを開くとか、いかにも大げさすぎるときに使う表現といえるでしょう。
字面からちまちました作業を大雑把にやる…という意味に勘違いしそうですが、全く違うので注意してください。
蚤(のみ)の息も天に上がる
誰しもコツコツ努力して夢を掴む話は好きですし、自分もそうあれたらというのは理想ですよね。この慣用句は小さな者、力のないものでも一心に努力をすれば願いや望みは叶えられるということを例えた慣用句です。とても夢があるので私は結構好きですよ。
ちなみに意味としては「蟻の思いも天に届く」と同じです。
ですがよく考えるとノミってメチャクチャ強い脚力があり、体長の約60倍の高さ、100倍の距離をジャンプできるんです。そう、元々運動能力はかなり高い虫なんです…。それにしぶとい。なのでダニアースみたいなので部屋の隅々まで殺虫しないとまた出てくるんですよね。
なので、ノミというとイメージとしては弱々しい印象ですが、実はものすごくタフで強い成分だったりするんです。私達もタフでしぶとく生き延びるような存在でありたいものです。
蚤の夫婦
ノミの夫婦とは妻のほうが夫より大柄であることを表現する慣用句ですね。ノミはメスのほうが大きいことから来た言葉ですが、最近では女性も割と背が高くスタイルの良い人を見かけることも少なくありません。
女性としては背が低い方が良いという意見がある一方、背が高い女性はスタイルが良くてもかっこよくモデルのようだと評価も高いです。
まあもちろん背が高い以外にも恰幅が良いという意味でも「ノミの夫婦」は使える慣用句なので、女性の方が大きいカップルを見つけたら「蚤の夫婦だな…」と考えを巡らせてみるのも一興かもしれません。
蚊の食うほどにも思わぬ
蚊に噛まれると大したほどでもないものの、なんだか痒くなって集中が途切れてしまいますよね。この「蚊の食うほどにも思わぬ」とは、全く影響を受けない様を表す言葉。要するに、大したダメージもないということですね。
蚊の臑(かのすね)
蚊の脚って観察したことありますか?なんかしましま模様だな…っていうのではなく、ちょっと力を加えたらすぐ折れそうな弱々しい脚をしていますよね。
そこから来たのが「蚊の臑」という慣用句。非常に補足弱々しいすねに対して使う言葉ですが、いかんせん局所的過ぎて使う状況もないかもしれません。個人的にはお年寄りの弱々しい足を見ていて思い浮かぶ慣用句だったり。
蚊の鳴くような声
「蚊の鳴くような声」とは蚊の羽音かと思うほどの小さな声で、という意味で使います。叱られて萎縮してしまった時の発言などが蚊の鳴くような声になりやすいですね。
叱られてもでかい声で返事ができれば肝は座っているということでしょう。いや、別にほめてないですよ。
蚊の涙
蚊に涙なんかあるのか…という話なんですが、まあないですよね…。「蚊の涙」とはごくわずかな量という意味の言葉ですが、雀の涙とほぼ同じ意味となります。
スケールの大きさ的には雀の涙の方がやや大きいイメージなので、うまく使い分けられればスマートさを演出できるはず!知らんけど。
螻蛄(けら)の水渡り
ケラとはコオロギの仲間の昆虫のこと。おけらといえばわかる人もいるでしょう。ケラは水生昆虫ではなく陸上で活動するため、当然水渡りをすることはできません。
ですので「ケラの水渡り」の意味としては、いくら真似をしても成し遂げることは不可能であることを例えた言葉となります。
人には努力してできることと、そうでないことがあります。個人的にはできないことをするよりも、自分の出来る範囲で努力していくのが好きですね。「ノミの息も天に上がる」ように頑張りたいところ。
螻蛄腹立つれば鶫喜ぶ(けらはらたつればつぐみよろこぶ)
つぐみという鳥を捕るためにケラをひもで繋いでいると、まるで怒ったように前足を動かすんだそうです。それを見たつぐみが喜んで飛びついてくることからこの慣用句となったのでしょう。
意味としては、両者の利害が相異なるという例えとなりますね。こちらが喜ぶと相手が怒る、その逆もまた然りという状況のとき使える慣用句です。
蚯蚓鳴く(みみずなく)
この慣用句を見たとき、え!?ミミズって鳴くの?!とちょっと驚いたんですが、そんなことはなく…秋の夜や雨の日に地中から「ジジーッ」となく声をミミズが鳴いているとした季語だそうで。
実際に鳴いているのはケラなんだとか。あぁ…あの鳴き声っておけらだったんだ…
ということで実際にケラの鳴き声を聞いてみてください。ああこれかと得心するはず。
ケラは低い音で鳴きますが、クビキリギスという虫はもっと高くてちょっと不快な音で鳴きます。たぶんこっちも聞いたことはあるはず。夏の風物詩です。
蚯蚓ののたくったよう
「みみずののたくったよう」とは、ヘタな筆跡を表した慣用句となります。字が下手、絵がヘタ、そんな人に対して「お前の字(絵)はミミズが通ったようだな…」と言ったりします。みみずがのたくるというと分かりづらいですが、ミミズが通ったような、といえば問題なく伝わると思いますし、最近ではそのように使われています。
蜂の巣をつついたよう
蜂の巣って怖いですよね。あるだけでもハチの出入りがあるのに、それを撤去しようとつつこうものならハチの大群がバーッと襲いかかってくる…そうなるのが嫌だから業者に頼むわけですが、手のつけられない大騒ぎになることを「蜂の巣をつついたよう」と表現します。
泣き面に蜂
この「泣面にハチ」は面の慣用句でも紹介しましたが、不幸なことが重ねて起こることを表現した慣用句となります。私も最近泣き面にハチのような出来事があってちょっと凹んでいますが、早めに切り替えてポジティブにものと後に対処していくのが大事ですよ!
平蜘蛛(ひらぐも)のよう
平蜘蛛とは歴史の側面から見ると戦国時代の武将である松永久秀が所有していた茶釜のことで、正しくは古天明平蜘蛛」と呼ばれます。
この茶釜は平べったくクモが這いつくばっているような形だったことから名付けられたのだそうです。平べったいクモというと、アワセグモやヒトエグモあたりがそうかも知れません。(画像検索する時は虫が苦手な人は要注意です!)
で、このことからベッタリと両手をついて平身低頭する様を表現したのが「平蜘蛛のよう」という慣用句だそうで。出来る限り平蜘蛛のようになって謝罪はしたくないものです。
蛭に塩(ひるにしお)
塩で撃退できるのはナメクジだけではありません。吸血することで栄養を摂取するヒルにも塩は効きます。そして慣用句の意味としても「ナメクジに塩」と同じで、苦手なものや怖いものに出会って縮み上がってしまうことを意味します。
近いものとしては「青菜に塩(元気なくしおれる様)」という慣用句も。
蛭に食わす(ひるにくわす)
ヒルは血を吸う虫ですが、実は医療用ヒルというものも存在しています。この慣用句の意味としてははれものなどの悪い血をヒルに吸わせて治療するという意味。
実際にそういった療法があるのだから、ちょっと驚きですよね。
まとめ:虫の慣用句はたくさん!お気に入りを見つけて使ってみよう!
というわけで、ここでは虫に関する慣用句パート3をまとめました。今回で虫の慣用句は終わりですが、一つでも自分の気に入ったものがあったでしょうか?
個人的にはノミと腹の虫系慣用句は結構好きです。含蓄があって興味深いのが慣用句ですが、なんだそれ?というのもあるので調べるのが楽しくなりますね!
ぜひとも気に入った慣用句を実際に文章で使ってみて、自分のレパートリーを増やしてほしいなと思います!