【腕】身体の慣用句とその使い方・例文

【腕】身体の慣用句とその使い方・例文

今回は「腕」を使った慣用句をまとめていきます。腕を使った慣用句は何かしらの技術を持っている、といった意味になるものが多いので、そのあたりを踏まえつつ見ていってもらえたらと思いますね。

というわけで早速見ていきましょう!

「腕」を使った慣用句

腕が鳴る

自分の実力・腕前を披露したり、存分に発揮したくてうずうずしている状態のことを「腕が鳴る」といいますね。実際に腕が鳴ることはないですが、腕を掌で叩いたりするジェスチャーを交えて使われることはよくあります。

例文
今日の試合は格上の相手なので腕が鳴る。

腕に覚えがある

自分の実力や力量に対して自信があるさまを「腕に覚えがある」と表現することがあります。と言っても自分でそれをあけっぴろげにする人はあまりいない気も。

例文
彼は中学時代に野球部だったらしく、腕に覚えがある話しぶりだったのだが、いざ練習を始めてみるとバットをまともに振ることもできなかった。

腕に縒をかける(うでによりをかける)

「腕に縒りをかける」は自分の実力を思う存分発揮しようと張り切る様子のこと。主に料理やものづくりなどをする時によく使われますね。

例文
今日の私は腕によりをかけてスパイスからカレーを作ったのだが、どうやらウチの家族は市販のルーのほうが好きらしい。

腕を拱く(うでをこまねく)

「腕を拱く」は「手をこまねく」と同じで、なにかをしなければと思っているのになにもできず傍観している様子のこと。もう一つの意味としては、腕を組むことですね。

あまりに突然の自然災害で何の対応もできず、腕をこまねく…なんてのはありうる話です。

例文
今年に植えたイチゴはなぜか実がならず腕を拱いていたのだが、人に聞いたところすぐに実がならない苗だったようだ。

腕をさする

自分の実力を今すぐにでも発揮したくて、その時を待つ様子のことを「腕をさする」と表現します。別に痛がっているわけではなく、培った技術を思い起こして腕をさする動作をしているのでしょう。

例文
彼は自分の出番はまだかと言いたげに腕をさすっていたが、とうとう交代することなく試合は終了した。

暖簾に腕押し(のれんにうでおし)

のれんって一見すると分厚く見えますが、手や腕で容易に持ち上げられますよね。そのように手応えがなく、張り合いもないことを「暖簾に腕押し」と言います。慣用句というよりもことわざの一つ。

例文
今日の試合は少しは張り合いがあるかと思ったのだが、暖簾に腕押しのごとくあっさりと私達のチームが勝ってしまった。

切歯扼腕(せっしやくわん)

これは慣用句ではなく故事成語となりますが、ひどく怒りをにじませたり残念がったりして歯ぎしりしたり腕を握り締めたりすることを意味します。非常に悔しくて仕方がない時に使うと効果的。

例文
彼はオリンピックまで嫌という程練習を頑張ってきたというのに、この結果では報われない。切歯扼腕の様子が思い浮かんだが、画面に映った顔は予想に反して晴れやかだった。

腕一本脛一本(うでいっぽんすねいっぽん)

人脈や財産があるわけでもなく、自分の技術や力量のみしか頼りになるものがないことを「腕一本脛一本」といいます。「裸一貫」とほぼ同じ意味となりますね。

例文
新規に始めた事業は上手く行かず廃業となった。また腕一本臑一本で人生をやり直すのかと思うと、逆にやる気がみなぎってきた。

腕が立つ

技量が特に優れているさまを「腕が立つ」と言いますね。褒め言葉なので、他人の技術や力量を褒める時に活用したい言葉です。

例文
彼は鍵盤楽器の演奏に関しては腕が立つんだ。そのかわり弦楽器はまるでダメだ。

腕を上げる

技術や力量が高まることを、「腕を上げる」と表現します。元々高い技術を持っていた人がさらに高度な技術を身に着けた時も「腕を上げる」は使えます。

例文
あの子はまたボレーの腕を上げたな。最初の頃はボールが飛んでくるのが怖いなんて言っていたのに。

腕を引く

腕を引くは字面だけみると他人の腕を引っ張っているだけのようなイメージですが、実際には全然違います。

具体的には立てた近いがウソではないということを示すために、自分の腕に刀をあてて引き、血を出すこと、というなかなかにバイオレンスな言葉です。主に侠客(困っている人などを助けるために動く人)が行っていたのだとか。とはいえ、意味的にもこの慣用句が現在で使われることはまずないでしょうね。

腕を撫す(うでをぶす)

「腕を撫す」は意味的には「腕をさする」「腕が鳴る」などと同じく、自分の実力や技量を発揮したくてうずうずしている様子を意味します。とはいえ、今ではあまり見られない表現ですね。

例文
この新聞の見出しには「世界トップレベルの試合を観戦し〇〇選手腕を撫す」と書いてあるが、私としてはそんなふうに見えない。

腕を返す(かいなをかえす)

「腕を返す」は相撲用語として使われる言葉で、上手投げ・小手投げを防ぐために下手をさしその腕を上げる…という意味ですが、動画のほうが分かりやすいですね。

高見盛(右)が脇に両腕を差し込み、ひじを上に上げているのがわかりますね。そしてそのまま土俵の外へ…
上手とは相手のまわしを掴んでいる腕が、相手の腕の上にある状態のこと。下手は相手のまわしを掴んでいる腕が、相手の下にある状態のことですね。

例文
高見盛は腕を返す技で相手の力士を圧倒してきた。

肘を食わせる

肘で突いて相手をはねのけたり、相手の申し出や誘いをはねつけることを「肘を食わせる」といいますね。「肘鉄砲を食わせる」でも同じ意味となります。誘いを強く断られた時などに使うと効果的ですね。

例文
彼女は街角でナンパしてくる男どもに肘を食らわせ颯爽と去っていった。私もあんなしたたかな大人になりたい。

肘を張る

威張ったり意地を張る、気負うような様を「肩肘張る」といいますが、それと同じ意味で使われていたのが「肘を張る」ですね。現在では使われることはほぼない慣用句の一つです。

肘を曲げる

肘を曲げるは慣用句ではなく故事成語として意味があります。肘を曲げて手枕にするとか、ビンボー生活を楽しもうとするたとえですね。「曲肱(きょっこう)の楽しみ」とも言い、貧しい生活を楽しむという意味があります。

猿臂を伸ばす(えんぴをのばす)

猿臂(えんぴ)てそもそもなんじゃい!と言いたいところだと思いますが、猿の腕のことです。そこから転じて、そのように長い腕のことを猿臂といいます。
なので、「猿臂を伸ばす」は伸びなどをして腕を長く伸ばす、といった意味がありますね。

例文
食堂に行くと先輩が椅子に腰掛けて猿臂を伸ばしてる最中だった。

まとめ

「腕」を使った慣用句、知っているものはたくさんあったでしょうか?といっても後半はほぼ今では使われないものだったのですが…個人的には肘を食らわせるが好きですね。イラつくやつをどついてやる、という慣用句は使ってみてもちょっとスッキリした気分になります。

慣用句一つ一つにそういった印象を持ちながら見ていくと面白いし、使ってみたい!と感じられるはず。一つでも面白そうなものがあれば、ガンガン使って文章のボキャブラリーを増やしましょう!

こちらの記事もオススメです